住宅ローンを利用して自宅を購入すると、住宅ローンの支払いを担保するために自宅に抵当権を設定して抵当権設定登記をします。
そして、数年後または数十年後に住宅ローンを完済すると、抵当権が解除され、抵当権抹消登記をすることになります。

住宅を購入した人が、亡くなる前に住宅ローンを完済できれば、そのまま抵当権抹消登記をすれば良い(参考:住宅ローン完済後の抵当権抹消登記)のですが、もし、住宅を購入した人が亡くなった後に、住宅ローンを完済した場合には、そのまま抵当権抹消登記をすることはできません。
この場合には、住宅について相続による名義変更の登記をしてから、抵当権抹消登記をする必要があります。
したがって、遺産分割協議がまとまらずに、相続の登記ができない場合には、原則として抵当権抹消登記をすることもできません。

住宅購入者の死亡後に住宅ローンを完済する場合で多いのは団体信用生命保険によるものです。
団体信用生命保険は住宅ローンを組む時に加入するもので、住宅ローン完済前に住宅購入者が亡くなった場合に保険金が住宅ローンを融資した金融機関に支払われます。

団体信用生命保険は生命保険ですので、保険金が支払われるのは、住宅購入者が死亡した後になります。
また、法律の規程では、相続は被相続人が死亡したときに開始しますので、法律上は、住宅購入者死亡時に住宅の所有者は相続人へと変更になったことになります。
したがって、相続により住宅所有者が相続人に変更になった後に住宅ローンが完済されたという順序になります。
そのため、相続による名義変更の登記をしてから、抵当権抹消登記をすることになるのです。

なお、住宅購入者死亡前に住宅ローンを完済したが、抵当権抹消登記をする前に、住宅購入者が死亡してしまった場合には、相続による名義変更の登記をすることなく、抵当権抹消登記をすることができます。


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