不動産の売買で、会社が不動産の売主や買主になることが良くあります。
別にどうということはなく、住民票の代わりに会社の登記事項証明書を用意して、委任状とセットで同じく会社の登記事項証明書を用意するくらいで、個人同士の売買とほとんど変わりません。

しかし、売主または買主が会社で、その相手方が当該会社の取締役だった場合には、重大な問題があります。
というのも、これは会社法で規制されている取締役の利益相反取引に該当するからです。

取締役の利益相反取引とは、簡単にいえば会社と取締役の利害が対立する取引のことです。
不動産の売買であれば、例えば、会社が所有している土地を取締役が買うといった場合です。
このケースでは、会社としてはできるだけ高く売った方が会社の利益となりますが、取締役個人としてはできるだけ安く買いたいということで、会社と取締役の利害が対立します。
このような場合を利益相反取引といいます。

取締役の利益相反取引は、禁止されているという訳ではありません。
取締役が利益相反取引をするときには、取締役が好き勝手にできないように、株主総会又は取締役会の承認決議が必要とされています。
株主総会の承認が必要なのか又は取締役会の承認が必要なのかは、当該会社に会社法上の取締役会があるかどうかで異なります。取締役会がない会社は株主総会の承認が必要で、取締役会がある会社は取締役会の承認が必要となります。





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