先日、遺言作成のお手伝いをさせていただいた方の事例をご紹介したいと思います。
この方(Aさん)は、ご結婚はされておらず、お子様もいらっしゃらなかったのですが、非常に仲の良いご友人(Bさん)がいらっしゃり、ご一緒に生活されていらっしゃいました。
しかし、その後Bさん体調が悪くなってきたときに、病院の手続や施設の手続きなどを手助けするにあたり、ご家族やご親戚ではないということでいろいろと手続上面倒なことがあったそうで、たまたまAさんがBさんよりも少し年下だったため、Bさんを養親、Aさんを養子として養子縁組をしました。養子縁組をすることによりAさんはBさんの子として様々な手続きをすることができ、非常に助かったそうです。
そして、養子縁組をして数年後にBさんが亡くなりました。
Bさんもご結婚されておらず、Aさんのほかにお子様はいらっしゃいませんでした。
そのため、Aさんの財産はBさんが一人で相続することとなりました。
Aさんは自分自身もかなり高齢になってきており、自分の死後のことを考えたときに、Bさんから相続した財産はBさんの親族に相続させるべきだとお考えになりました。
Aさんにはお子様がいらっしゃらず、両親もお亡くなりになっているため、Aさんの法定相続人はAさんのご兄弟(または甥姪)ですが、BさんにはAさんのほかにお子様がいらっしゃいませんでしたので、Aさんのご兄弟はAさんの実のご兄弟のみということになり、AさんがBさんから相続した財産もBさんとは縁もゆかりもないAさんの実のご兄弟が相続することとなってしまいます。
そこでAさんは当事務所にご相談にいらっしゃり、Bさんから相続した財産はBさんのご兄弟(甥姪)に遺贈させるとした内容の遺言公正証書を作成いたしました。遺贈の内容がスムーズに実行されるように遺言執行者の指定も遺言公正証書に記載いたしました。
今回、ほかの財産は法定相続人同士で遺産分割協議をして分けてくれればよいとのお考えから、AさんはBさんから相続した財産の遺贈についてのみ遺言に記載されましたが、公証役場での遺言公正証書のお手続きが終わった時には、「これでホッとしました」とおっしゃっていました。
人にはそれぞれ様々なご事情があり、相続の仕方もそれぞれなんだなと改めて感じました。
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